
はじめに:VPSで始めて、その先は?
個人開発や小規模なサービス立ち上げで、さくらのVPSを選んだ方は多いのではないでしょうか。
定額でコストが読みやすく、Linuxサーバーの知識があればすぐに使い始められる。
最初の一台として、とてもバランスの良い選択です。
一方で、サービスを運用していると、こんなことが頭をよぎる瞬間もあります。
- 利用者が増えてきた
- サーバー1台構成に不安を感じ始めた
- バックアップや障害対策を考えたくなった
「いずれはクラウドが必要かもしれない。でも、今すぐ全面的に作り直すのは大変そう。」
そんなときに知っておきたいのが、
さくらのVPSとさくらのクラウドをつなぐ『クラウド連携』という選択肢です。
たとえば、VPSで立てたウェブサーバーに、クラウドのデータベースやロードバランサを後から組み合わせる、といった構成も可能になります。
VPSは「最初の一歩」としてとても優秀
まず前提として、VPSは決して「仮の環境」ではありません。
- 月額固定料金でコスト管理がしやすい
- 構成がシンプルで学習しやすい
- 小規模サービスや検証用途に最適
小さく始めるという意味では、VPSは非常に優秀です。
「まずはきちんと動くものを作る」段階に集中できるのが大きな魅力です。
サービスが育つと、構成変更も必要になる
サービスが継続し、少しずつ成長してくると、
サーバー構成に求めるものも変わってきます。
- スペック変更を柔軟に行いたい
- 高アクセスにも耐えられるようにしたい
- ウェブサーバーとデータベースを分離したい
- 障害時に早く復旧できる仕組みがほしい
こうした要求に、VPS単体で対応し続けるのは大変です。
しかし、だからといってすべてを作り直す必要はありません。
クラウド連携①:VPSからクラウドへの移行(マイグレーション)
さくらのVPSを使っている最大のメリットの一つが、
さくらのクラウドへ移行できる道が用意されていることです。
- これまで構築してきた環境をベースに移行できる
- OSやミドルウェアを一から作り直す必要がない
- VPSで積み上げた知識や作業が無駄にならない
つまり、VPSは「使い捨て」ではなく、
クラウドへの入口として位置づけることができます。
実際の移行手順については、公式マニュアルも用意されています。
さくらのクラウドへのマイグレーション方法はこちら
https://manual.sakura.ad.jp/cloud/server/vps-migration.html
クラウド連携②:必要な機能を『足していく』という考え方
クラウド連携の魅力は、すべてを一度に導入しなくてもよい点です。
例えば、
- アクセス増加に合わせてロードバランサを追加
- 画像や動画はオブジェクトストレージに分離
- バックアップや冗長構成を後から導入
今は必要ない機能を、無理に使う必要はありません。
必要になったタイミングで、必要な分だけつなげていく。
これがVPS×クラウド連携の現実的な使い方です。
VPSとクラウド、「同じさくらのサービス」を組み合わせて使うメリット
メリット① 便利なネットワーク接続機能が用意されている。
VPSとさくらのクラウドは、ハイブリッド接続やブリッジ接続といった仕組みが用意されており、異なるサービスでありながら同一ネットワークのように扱うことができます。これにより、VPSで構築したウェブサーバーとクラウド上のデータベースを組み合わせるといった構成もスムーズに実現できます。
メリット②サポート・情報の一貫性
同じさくらインターネットのサービスであるため、ドキュメントやサポートの連動性が高く、問題発生時に情報を探しやすい点も大きなメリットです。
メリット③ 請求・契約管理の一元化
VPSとさくらのクラウドを同一事業者で利用することで、請求や契約管理をまとめて扱うことができます。
具体的には、
- サービスごとに異なるアカウント管理が不要
- 請求書や支払いが分散せず、コスト把握がしやすい
- 障害時や問い合わせ時の窓口が一本化される
といったメリットがあります。
特に、VPSと外部クラウドを組み合わせる場合は、 「それぞれ別の管理画面・請求体系・為替変動」が発生しやすく、運用面の負担が増えがちです。
その点、同一サービス内で完結する構成であれば、
技術面だけでなく運用・管理コストも抑えられるのが大きな利点です。
VPSとクラウドをつなぐ「ブリッジ接続」について
VPSとクラウドのサーバーや機能を共用するには、サービスの垣根を超えてネットワークを接続する仕組み「ブリッジ接続」が必要になります。
通常、VPSとさくらのクラウドはそれぞれ独立したネットワークとして動作しているため、そのままでは互いに内部通信することができません。
そこでブリッジ接続を使うことで、両者を接続し、同一ネットワーク(実際には論理的に接続する仕組み)のように扱えるようになります。
ネットワーク的には、異なるネットワーク同士をL2レベルで接続するイメージになります。
これにより、たとえば以下のような構成が実現できます。
- VPS上のウェブサーバーから、クラウド上のデータベースへ直接接続する
- VPSとクラウドのサーバーを同じロードバランサで分散する
- 外部(インターネット)を経由せず、安全にサーバー間通信を行う
「VPSで始めた構成をそのまま活かしながら、クラウドの機能を組み合わせるための土台」となる仕組みの1つがブリッジ接続です。
ブリッジ接続の通信性能は、接続するサーバやスイッチの帯域制限、ネットワーク構成に応じて変化するベストエフォート型となっています。

ブリッジ接続の利用には月額の利用料金が必要になります。
物理回線を利用されない場合は基本料金のみでご利用いただけます。
詳細は下記ページやコラムをご覧ください。
ブリッジ接続について
https://manual.sakura.ad.jp/cloud/network/bridge.html
ブリッジ接続の詳細についてのコラムもご覧ください。
https://vps.sakura.ad.jp/contents/column/bridge-connection/
さくらのクラウドのおすすめのロードバランサについて
さくらのクラウドには4種類のロードバランサが提供されています。
さくらのVPS、さくらのクラウドのサーバーを併用、リージョンやネットワーク構成に依存しない利用を行いたい場合は「エンハンスドロードバランサ」を推奨します。
エンハンスドロードバランサはCPS(秒間の接続数)によって料金が変化します。
CPSの設定は通常は「自動」をおすすめします。
ただイベント開始直後などの瞬間的なアクセス集中に確実に対応したい場合は、固定で大きめの値にするなどの対応も必要になります。
請求額は、その時点で必要なCPSに応じて時間単位で利用量に応じて計算されるため、一時的に負荷が上がった場合でも、その時間帯のみ費用が増える仕組みになっています。
さくらのクラウド エンハンスドロードバランサについて
https://cloud.sakura.ad.jp/products/enhanced-load-balancer/
クラウド連携でできること:具体的な活用例
さくらのVPSとさくらのクラウドを連携させることで、
「VPSを置き換える」のではなく、VPSを起点に構成を広げていくことが可能になります。
ここでは、よくあるユースケースをいくつか紹介します。
例1:VPSで構築した環境を、そのままクラウドへ移行
最も分かりやすいのが、VPSからクラウドへのマイグレーションです。
・まずはVPSでウェブサービスを立ち上げる
・利用者が増えてきたタイミングでクラウドへ移行
・OSやミドルウェアの再構築を最小限に抑えられる
「最初は小さく、手応えが出たら本格運用へ」という流れを、 構成を壊さずに実現できるのが大きなメリットです。

例2:VPS+クラウドで役割分担する構成
VPSをすぐに手放さず、一部機能だけをクラウド側に切り出す使い方もあります。
- VPS:アプリケーションサーバー
- クラウド:アプリケーションサーバー、
:データベース/バックアップ/オブジェクトストレージ (負荷の大きい処理を分離)
データベース、バックアップ、オブジェクトストレージはVPSで自前で構築することもできますが、自動冗長化、自動フェイルオーバー(故障時の自動切り替え)などに対応したクラウド提供のものを使うことで、障害対応や復旧の負担を大きく減らし、安心してサービスを運用することができます。
アプリケーションサーバーにおいても、固定的な負荷であればVPSでコストを抑えつつ運用し、アクセス増加が見込まれる部分のみクラウドで柔軟にスケールさせる、といった形で役割に応じた使い分けが可能です。
負荷の種類ごとに役割を分離することで、ボトルネックを局所化しやすくなります。

例3:アクセス増加に合わせてクラウド機能を追加
サービスが成長すると、アクセス集中への備えが必要になります。
- ロードバランサを追加して負荷分散
- 将来的にはサーバーを複数台構成へ
最初から大規模構成を組む必要はなく、
必要になったときに必要な分だけ追加できるのがクラウド連携の強みです。

例4:データをクラウド側に逃がして運用を安定化
画像や動画、ログなどのデータが増えてきた場合、
- VPSのディスク容量を圧迫しない
- バックアップや保全を強化できる
といった目的で、クラウドのストレージサービスを併用する構成も有効です。
「アプリはVPS、データはクラウド」という切り分けは、運用負荷を下げたいフェーズで特に効果を発揮します。

例5:さくらのウェブアクセラレータで表示速度向上とサーバー負荷軽減
ウェブサービスを運用していると、表示速度やアクセス集中への対応も重要になります。
こうした課題に対しては、さくらのウェブアクセラレータを組み合わせることで、構成を大きく変えることなく改善が可能です。
さくらのウェブアクセラレータは、CDN(コンテンツ配信ネットワーク)をベースに、ウェブサイトの表示速度向上やサーバー負荷軽減を簡単に実現できるサービスです。
さくらのウェブアクセラレータを利用することで、画像やCSS、JavaScriptなどの静的コンテンツをCDN側にキャッシュし、VPSの代わりに配信できます。これにより、表示速度の向上とVPSへのアクセス負荷軽減が期待できます。
一方で、データベース処理や動的な処理そのものの性能が向上するわけではありません。
さくらのウェブアクセラレータを導入するメリット
- コンテンツをキャッシュすることで表示速度を高速化
- アクセス集中時の負荷を軽減
- VPS側の構成を変えずに導入できる
といった効果が期待できます。
アプリケーションやサーバー構成を作り直すことなく、
まずは「配信経路を最適化することで改善するアプローチ」が取れるのも、クラウド連携の大きなメリットです。

外資クラウドの費用との比較シミュレーション
具体的な構成での外資クラウドとの費用比較についてご紹介します。
「さくらのVPS」と「さくらのクラウド」を組み合わせることでデータ転送量を抑え、為替リスクにも対応できる環境構築が可能になります。
下記にて構成例と費用シミュレーション、外資クラウドとの費用比較を紹介します。
想定される利用用途と構成
本シミュレーションでは、中規模Webサービス、社内向けシステムの運用を想定した構成を題材としています。
アプリケーションはVPSで運用し、コストを抑えつつ、データベースやストレージなど負荷の大きいコンポーネントはクラウド側に分離します。これにより、処理負荷の分散と安定性の向上を実現できます。
また、アクセス集中時にはVPS側やクラウド側のサーバーなどのリソースを追加し、ロードバランサによって負荷分散することで、柔軟にスケールできる構成となっています。
このように、小さく始めながら必要に応じて拡張していくことで、コストと拡張性を両立できる点が大きな特徴です。
- 中規模Webサービス
- 社内向けシステム

費用シミュレーションと外資クラウドとの比較
費用想定は下記のようになります。
外資クラウドでの同構成に比べて29%程度安くなります。
特にサーバー数が増えたときにその分をVPSで賄うほどに、外資クラウドと比較して費用を抑えることができます。
| 項目 | さくらの構成 (VPS + クラウド) | 外資クラウドの同等構成 (ドル円=160円換算) |
|---|---|---|
| サーバー (4台) ※近い構成で計算 | 18260円 (VPS 3台 11,220円 + クラウド 1台 7040円) | 約 32,000 円 |
| スイッチ | 2,750円 (クラウド側のみ, VPS 0円) | 0 円 |
| ブリッジ接続 (さくらのみ) | 2,750円 | – |
| データベース | 2,750円 | 約 3,580 円 |
| ストレージ (S3) | 3,960円 | 約 5,200 円 |
| ロードバランサー | 3,850円 (固定1000CPSプラン) | 約 3,500円 |
| データ転送量 (目安) | 0円 | 約 3,650 円 |
| 合計 | 34,320円 (外資クラウド費用の29%安) | 約 47,930 円 (さくらの費用の1.39倍) |
まとめ:VPSで小さく始め、成長への未来を閉じない
さくらのVPSは、定額で安く・早くサービスを立ち上げられるスモールスタートに最適な選択肢です。
そして重要なのは、そこから先の拡張手段が用意されていることです。
最初からすべてをクラウドで構築しなくても、VPSで小さく始め、必要に応じて一部の機能をクラウドに移行していく、そのような現実的なアプローチが取れる点は大きなメリットです。
「VPSかクラウドか」のどちらかを選ぶのではなく、VPSで始めて、成長に合わせて広げていく。
まずはVPSで一歩踏み出し、必要になったタイミングでクラウドを組み合わせていく。
そうした段階的な進め方ができる点も、さくらのVPS&さくらのクラウド連携の大きな魅力です。
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さくらのVPSは、ウェブサービスだけでなく、
開発環境や検証環境、将来的な拡張を見据えた基盤づくりにも活用できます。
「まず触ってみて、理解しながら構成を育てていく」
こうした進め方ができるのも、VPSならではの魅力です。
『さくらのVPS』では2週間の無料体験を実施中です。
まずは実際に使ってみることで、その自由度と将来への拡張性を体感していただけます。
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無料期間内の解約であれば料金はかかりませんのでご安心ください!
